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2026年9月5日

サウナと脳の意外な関係!?認知症リスク66%低下させる熱ストレスが体内の「修復チーム」

サウナと脳の意外な関係!?認知症リスク66%低下させる熱ストレスが体内の「修復チーム」
ヤーモリ
イーモリ!見ろよ、あの地球人!なんか小さい部屋に閉じ込められて、めちゃくちゃ汗かいてるぞ!? まさか拷問か!?
イーモリ
落ち着いて、ヤーモリ。あれは「サウナ」だよ。地球人が自ら進んで入る、高温の部屋だ。特にフィンランドという北欧の国では、何千年もの歴史がある文化なんだ。
ヤーモリ
自分から!? わざわざ暑い部屋に入って、汗ダラダラになるのが楽しいのか? 地球人の趣味はよくわからないな……
イーモリ
ふふふ、そう思うだろう? でもね、最新の脳科学の研究で、サウナが脳に驚くべき効果をもたらすことがわかってきたんだ。
ヤーモリ
脳に!? ただ暑い部屋で汗かくだけで、脳に何か起こるのか?
イーモリ
うん。まず衝撃的なデータから紹介しよう。フィンランドのクオピオ虚血性心疾患リスク因子研究——42歳から60歳の男性2,315人を約20年間追跡調査した大規模研究だ。
ヤーモリ
20年も追跡!? 地球人は気の長い研究をするなぁ。
イーモリ
この研究で、週に4〜7回サウナに入る人は、週1回だけの人と比べて、認知症のリスクが66%、アルツハイマー病のリスクが65%も低かったんだ。
ヤーモリ
ろ、66%!? なにーーーーーーーーーー! 暑い部屋に入るだけで、脳の病気のリスクが3分の1になるってことか!?
イーモリ
正確に言うと「関連がある」であって、サウナだけが原因とは断定できない。年齢や飲酒量、BMI、血圧、喫煙、糖尿病などの影響を統計的に除外しても、この関連は維持された。ただし限界もあって、対象が男性のみなので女性には一般化できないこと、サウナ習慣は研究開始時の自己申告1回だけで測定されたこと、そして認知症の前駆期に体調が悪くなってサウナに行かなくなった——いわゆる「逆因果」の可能性も否定できないんだ。Laukkanenらが2017年に学術誌『Age and Ageing』に発表した研究だよ。
ヤーモリ
でもさ、なんで暑い部屋に入ると脳が守られるんだ? 暑すぎたら逆に脳がやられそうじゃないか?
イーモリ
いい質問だね。ここで登場するのが「ヒートショックプロテイン」、略してHSPだ。特にHSP70という種類が重要なんだよ。
ヤーモリ
ヒートショックプロテイン? 熱でショックを受けるタンパク質ってこと?
イーモリ
逆だよ。熱というストレスを受けたときに、体内の細胞が大量に作り出す「修復チーム」のようなタンパク質なんだ。2026年に学術誌『Frontiers in Aging Neuroscience』に掲載されたレビューによると、HSP70は3つの重要な役割を持っている。ただしこのレビューは分子メカニズムと薬理アプローチの話で、サウナで脳内のHSP70が増えるというヒトの直接的な証拠はまだ得られていない。サウナで測定されているのは主に血中のHSPなんだ。とはいえ、そのメカニズム自体は脳の保護と深く関わっている。
ヤーモリ
3つ? 教えてくれ!
イーモリ
1つ目は「タンパク質の折りたたみ補助」。脳内のタンパク質は正しい形に折りたたまれないと機能しない。HSP70は、壊れかけたタンパク質を正しい形に直す「分子シャペロン」として働くんだ。
ヤーモリ
シャペロン……。竜の玉の文献でいうと、壊れた戦闘服を直す修理屋みたいなものか!
イーモリ
……まあ、遠からず。2つ目は「異常タンパク質の凝集を防ぐ」こと。アルツハイマー病の原因とされるアミロイドβタンパク質が塊になるのを防いでくれる。3つ目は「炎症を抑える」こと。脳内の慢性的な炎症——神経炎症を鎮めてくれるんだ。
ヤーモリ
すごいな! つまりサウナの熱で、体に「修復チーム」が出動して、脳を含む全身を守ってくれる可能性があるってことか!
イーモリ
そういうこと。しかも効果はそれだけじゃない。温熱刺激は「BDNF」——脳由来神経栄養因子にも影響を与えるんだ。
ヤーモリ
BDNF? 前に運動の話で聞いたやつだ! 脳の肥料みたいなやつだろ?
イーモリ
よく覚えてるね。Kojimaらの2018年の研究では、42℃のお湯に20分間頭を出して全身浸かる入浴実験で、血中のBDNF濃度が約3分の2も増加したんだ。ただし注意点が2つあって、これはサウナではなく熱い湯の入浴実験であること、そして測定されたのは血中のBDNFで、脳内の濃度を直接反映しているかはまだ確定していないんだ。
ヤーモリ
運動しなくていいのか!? これは最高じゃないか! 僕みたいにゴロゴロしてても、サウナに入れば脳が育つってことだろ!?
イーモリ
……そこだけ切り取らないでほしいんだけど。まあ、BDNFが増えると、新しい神経細胞の成長が促され、シナプスの可塑性——つまり脳の配線を柔軟に変える力が高まるのは確かだよ。
ヤーモリ
脳の配線が柔軟になるって、つまり新しいことを覚えやすくなるってこと?
イーモリ
そうだね。さらにサウナには「β-エンドルフィン」の放出効果も報告されている。85℃のサウナに30分という実験条件でβ-エンドルフィンが増加したという研究がある。ただしこれは研究用のプロトコルで、一般的なサウナの1セットは5〜20分だから、読者の皆さんはこの条件を真似する必要はないよ。
ヤーモリ
エンドルフィンって、あの「脳内麻薬」ってやつか! サウナ上がりに地球人たちが「ととのった〜」とか言ってるのは、これのせいか!
イーモリ
まさにそうだよ。β-エンドルフィンは天然の鎮痛物質であり、多幸感をもたらす。ただしサウナでβ-エンドルフィンが有意に増えなかったとする報告もあり、知見は一貫していない点は留保が必要だ。それに加えて、サウナ1回のセッション後にストレスホルモンのコルチゾールが約16〜30%低下するという報告がある。ただしサウナ室にいる最中は一過性にコルチゾールが上昇する点は知っておくべきだね。
ヤーモリ
ストレスホルモンが減る!? しかもサウナ中は一回上がるのに、終わったら下がるって面白いな。
イーモリ
うん。そしてここからがさらに驚きなんだけど——Janssenらが2016年に『JAMA Psychiatry』に発表した研究では、たった1回の全身温熱療法で、うつ病の症状が大幅に改善し、その効果が6週間も持続したんだ。
ヤーモリ
1回で6週間!? それはすごいぞ……。地球人の薬でもそんなに長く効くのは珍しいんじゃないか?
イーモリ
この研究は二重盲検のランダム化比較試験で行われた。ただし参加者30名と小規模で、著者自身も「熱さで盲検が破れた可能性がある」「治療抵抗性のうつ病ではない」と限界を述べている。大規模な追試が必要な段階だけど、深部体温を38.5℃まで上げることで何らかの抗うつメカニズムが起動する可能性を示した興味深い研究だ。
ヤーモリ
でもイーモリ、ちょっと待ってくれ。暑いのがそんなに良いなら、もっとガンガン温度を上げれば、もっと脳に良いんじゃないか?
イーモリ
それは絶対にダメだよ、ヤーモリ。ここで大事な概念が「ホルミシス」だ。適度なストレスは体を強くするけど、過剰なストレスは破壊する。サウナは「適度な熱ストレス」だからこそ、脳の防御システムが活性化するんだ。度を超えれば、熱中症で脳がダメージを受ける。
ヤーモリ
うっ……。そうだよな。やりすぎは良くないか。
イーモリ
それから、サウナ後の休息・クールダウンの時間に、副交感神経系——つまり「休息と回復」の神経が優位になることもわかっている。サウナ室の中では交感神経優位で心拍数も上がるけれど、出た後に一気に切り替わって、脳全体がリカバリーモードに入るんだ。2018年の『Mayo Clinic Proceedings』のレビューでも、サウナの多面的な健康効果が包括的にまとめられている。
ヤーモリ
ふっふっふ……。わかったぞ、イーモリ。僕はこれから「超高効率・脳若返りサウナマシーン」を開発する! 宇宙船の中にサウナ室を作って、隊員全員の脳をパワーアップさせるのだー!
イーモリ
……僕たちは変温動物だよ、ヤーモリ。外部の温度に体温が左右される種族が、わざわざ高温の部屋に入ったら、脳の機械がオーバーヒートする可能性が高いんだけど。
ヤーモリ
ガーン! そうだった……! 僕たち爬虫類型だから、暑すぎると逆に危ないんだった……。いいもん。いいもん。どーせ僕はサウナに入れないポンコツだもん……
イーモリ
まあまあ、そんなに落ち込まないで。地球人の皆さんにはぜひサウナを活用してほしいけどね。ただし今日紹介した温度や時間はあくまで研究の実験条件であって、一般向けの推奨ではないからね。一般的なフィンランド式サウナは1セット5〜20分程度。水分補給を忘れずに、飲酒後や妊娠中、循環器に不安がある方は利用を控えてほしい。体調が悪い時は無理しないこと。脳を守るために入ったサウナで倒れたら本末転倒だからね。今日のレポートは以上だよ。

■ 参考文献

[1] Laukkanen, T., Kunutsor, S., Kauhanen, J., & Laukkanen, J. A. (2017). Sauna bathing is inversely associated with dementia and Alzheimer’s disease in middle-aged Finnish men. Age and Ageing, 46(2), 245–249. https://doi.org/10.1093/ageing/afw212

[2] Kojima, D., Nakamura, T., Banno, M., et al. (2018). Head-out immersion in hot water increases serum BDNF in healthy males. International Journal of Hyperthermia, 34(6), 834–839. https://doi.org/10.1080/02656736.2017.1394502

[3] Janssen, C. W., Lowry, C. A., Mehl, M. R., et al. (2016). Whole-body hyperthermia for the treatment of major depressive disorder: A randomized clinical trial. JAMA Psychiatry, 73(8), 789–795. https://doi.org/10.1001/jamapsychiatry.2016.1031

[4] Laukkanen, J. A., Laukkanen, T., & Kunutsor, S. K. (2018). Cardiovascular and other health benefits of sauna bathing: A review of the evidence. Mayo Clinic Proceedings, 93(8), 1111–1121. https://doi.org/10.1016/j.mayocp.2018.04.008

[5] Ben Khalaf, N. (2026). Heat shock proteins (Hsp70 and Hsp90) in neurodegeneration: Pathogenic roles and therapeutic potential. Frontiers in Aging Neuroscience, 18, 1711422. https://doi.org/10.3389/fnagi.2026.1711422

[6] Vescovi, P. P., Coiro, V., Volpi, R., Giannini, A., & Passeri, M. (1992). Hyperthermia in sauna is unable to increase the plasma levels of ACTH/cortisol, beta-endorphin and prolactin in cocaine addicts. Journal of Endocrinological Investigation, 15(9), 671–675. https://doi.org/10.1007/BF03345813

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