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2026年6月9日

「忘れる」のは脳の最強スキルだった!?ドーパミンが記憶を消去して脳を守る「能動的忘却」の驚愕メカニズム

「忘れる」のは脳の最強スキルだった!?ドーパミンが記憶を消去して脳を守る「能動的忘却」
ヤーモリ
おーい、イーモリ!あの地球人を見てくれ!また何か探してるぞ!さっき置いたばかりの鍵をもう忘れてるみたいだ!
イーモリ
ああ、あの人か。朝から鍵を3回探して、上司の名前を思い出せなくて、さっきのミーティングの内容ももう忘れかけてるね。
ヤーモリ
地球人って本当にポンコツだよなぁ。僕だったらそんなこと絶対に忘れないのに!…あれ、イーモリ、僕の卵型の銃どこに置いたっけ?
イーモリ
…君の頭の上に載ってるよ。
ヤーモリ
あっ!…ま、まあそれはいいとして!とにかく、地球人の「忘れっぽさ」は弱点だよな?
イーモリ
実はそうでもないんだよ。むしろ、「忘れること」は脳の最強スキルかもしれない。
ヤーモリ
なにーーーーーーーーーー!?忘れることが最強だって!?どういうことだ!?
イーモリ
最新の脳科学研究では、「忘却」は脳の欠陥じゃなく、脳が意図的に行っている「能動的忘却(Active Forgetting)」というプロセスだとわかってきたんだ。
ヤーモリ
「能動的」って…わざと忘れてるってこと?
イーモリ
そう。脳は不要な情報を積極的に消去するシステムを持っているんだ。2022年にトリニティ・カレッジ・ダブリンのRyanとトロント大学のFranklandが『Nature Reviews Neuroscience』に発表した論文で、忘却は「エングラム細胞」の適応的な可塑性の一形態だと提唱したんだよ。
ヤーモリ
えっ、エングラム細胞って何だ?何かのモンスターか?
イーモリ
ふふ、モンスターじゃないよ。エングラム細胞は、記憶が物理的に保存されている神経細胞のグループのことだよ。記憶一つ一つが特定の細胞の集団に刻み込まれているんだ。
ヤーモリ
へー!記憶って脳の細胞に刻まれてるのか!じゃあ全部覚えていられるじゃないか!
イーモリ
ところが、覚えておくことにも「コスト」がかかるんだ。2025年にRyanらが『Trends in Neurosciences』に発表した論文のタイトルがまさに「記憶のコスト:忘却の柔軟なメカニズムとしてのエングラム競合」なんだよ。
ヤーモリ
記憶にコスト!?地球人の脳って課金制なのか!?
イーモリ
課金制とは違うけどね。脳の容量の問題じゃなくて、古い記憶と新しい記憶が「競合」するんだ。例えば、去年の駐車場の場所と今日の駐車場の場所、両方を同じ強さで覚えていたら混乱するだろう?
ヤーモリ
たしかに!去年の場所に行っちゃうかも!
イーモリ
そう。だから脳は古い情報を自動的に「アクセスしにくい状態」に切り替える。完全に消すんじゃなくて、鍵のかかった引き出しにしまうイメージだね。これが能動的忘却の基本メカニズムだよ。
ヤーモリ
でも、どうやって「これは忘れていい」って判断するんだ?脳にも上司みたいな決裁者がいるのか?
イーモリ
いい質問だね。実は、この忘却プロセスを制御しているのがドーパミンなんだ。
ヤーモリ
ドーパミン!?あの「やる気ホルモン」のドーパミンか!?
イーモリ
そう、あのドーパミンだよ。みんなドーパミンは「快楽」や「モチベーション」に関係してると思ってるけど、実は「記憶の消去」にも深く関わっている。2024年にBerryらが『Molecular Psychiatry』に発表した論文では、ドーパミンニューロンがエングラム細胞内の忘却経路を直接制御していることが示されたんだ。
ヤーモリ
ドーパミンが記憶を消すだって!?やる気を出すだけじゃなかったのか!
イーモリ
ドーパミンニューロンは、エングラム細胞の中で一酸化窒素との共伝達を行って、細胞内のカルシウム信号や細胞骨格の再構成を引き起こすんだ。簡単に言えば、ドーパミンが「この記憶はもう優先度低いよ」という信号を出すと、記憶を保持している細胞の内部構造が組み替えられて、その記憶にアクセスしにくくなるんだよ。
ヤーモリ
なるほど!消えるんじゃなくて、鍵がかかるのか!…あれ?ってことは、忘れたと思ってた記憶も、実はまだ脳の中にあるってこと?
イーモリ
その通り。2024年に『eLife』に発表された研究でも、自然な忘却は記憶の「発現」を可逆的に調整しているだけで、記憶自体は消えていない可能性が示されているんだ。ふとした匂いや音楽で昔の記憶がよみがえる経験、地球人なら誰でもあるだろう?
ヤーモリ
あるある!この前も地球のパンケーキ屋さんのバターの匂いを嗅いだら、初めて地球に来た日のことを思い出して泣きそうになった…
イーモリ
ふふ、それもエングラムが再活性化した瞬間だね。でもこの「能動的忘却」がうまく機能しないと、大変なことになるんだ。
ヤーモリ
え、どうなるの?
イーモリ
忘れられなくなるんだよ。すべての記憶が常にアクセス可能な状態になってしまう。PTSDや侵入的記憶として知られている症状がまさにこれなんだ。Berryらの論文では、能動的忘却メカニズムが損なわれると、侵入的記憶や苦痛な思考、不要な衝動が生じて、精神疾患の症状につながることが指摘されている。
ヤーモリ
ガーン!忘れられないって…辛すぎる…適切に忘れることが心を守っていたのか…
イーモリ
さらに2022年にGalloらが『Journal of Neuroscience』に発表した研究では、前頭前野のドーパミンD1受容体が、競合する記憶を能動的に忘れさせる働きをしていることが示されたんだ。この受容体をブロックすると、古い記憶が消えなくなって、新しい学びが阻害されるんだよ。
ヤーモリ
つまり、忘れないと新しいことが覚えられないってこと!?忘却は学習の敵じゃなくてパートナーなのか!
イーモリ
そういうこと。そして、日常生活でこの仕組みを活かすポイントが3つあるよ。まず1つ目。十分な睡眠を取ること。脳は睡眠中に、その日の記憶を整理して、不要なものを「アクセス不能」にしている。睡眠不足だとこの整理が追いつかなくなるんだ。
ヤーモリ
やっぱり睡眠は大事なんだな!僕も1日20時間寝てパフォーマンスを…
イーモリ
それは寝すぎだよ。2つ目は「間隔反復」。新しいことを学んだ後に適度な間隔を空けて復習すること。忘れかけたタイミングでもう一度思い出すことで、重要な記憶がより強固になる。脳の忘却システムを逆手に取った学習法だね。
ヤーモリ
へー!忘れかけが復習のベストタイミングなのか!
イーモリ
3つ目は、ストレス管理。ストレスや不安を慢性的に抱えていると、能動的忘却のメカニズムが乱れやすい。嫌な記憶が頭から離れない、ぐるぐると同じことを考え続ける…これは忘却システムがうまく働いていないサインかもしれない。前頭前野の機能を整えるために、適度な運動や瞑想も有効だよ。
ヤーモリ
ふっふっふ…じゃあ僕は今から「能動的忘却強化マシーン」を開発するぞ!嫌な記憶だけを選んで忘れさせてくれるマシーンだ!参考文献は竜の玉の…
イーモリ
漫画を参考にするのはやめなよ。でも実は、2026年に発表された論文では、非侵襲的な脳刺激を使って能動的忘却を促進し、侵入的記憶を減らすPTSD治療法の可能性が検討されているんだ。君の発想、方向性はそこまで間違ってないかもしれないよ。
ヤーモリ
おお!地球の科学者たちも同じことを考えてるのか!やっぱり僕は天才隊長だな!
イーモリ
…まあ、そういうことにしておこう。まとめると、忘却は脳の欠陥じゃなく、環境の変化に適応するための能動的な戦略なんだ。ドーパミンが制御する精密なメカニズムで、不要な記憶をアクセス不能にし、新しい学習を促進し、そして精神的な健康を守っている。
ヤーモリ
いやぁ…「忘れっぽい」って馬鹿にしてた自分が恥ずかしいよ。地球人の脳ってよくできてるなぁ。僕らの脳の機械は自動メンテナンスで最適化されるけど、地球人は自然にこの仕組みを進化させたんだもんな。
イーモリ
ある意味、もっとすごいかもしれないね。忘れることを恐れず、脳の賢い整理整頓を信頼してあげてほしいな。
ヤーモリ
よし!今日の教訓は「忘れることを忘れるな」だ!…あれ、何か矛盾してる?まあいいや!さて、報告書を書かなきゃ…って、あれ?何の報告書だっけ?
イーモリ
…それは能動的忘却じゃなくて、ただのサボりだね。

参考文献

Ryan, T. J., & Frankland, P. W. (2022). Forgetting as a form of adaptive engram cell plasticity. Nature Reviews Neuroscience, 23(3), 173-186.
https://doi.org/10.1038/s41583-021-00548-3

Berry, J. A., Guhle, D. C., & Davis, R. L. (2024). Active forgetting and neuropsychiatric diseases. Molecular Psychiatry, 29(9), 2810-2820.
https://doi.org/10.1038/s41380-024-02521-9

Autore, L., Drew, M. R., & Ryan, T. J. (2025). The cost of remembering: engram competition as a flexible mechanism of forgetting. Trends in Neurosciences, 48(10), 728-738.
https://doi.org/10.1016/j.tins.2025.07.011

Gallo, F. T., et al. (2022). Dopamine modulates adaptive forgetting in medial prefrontal cortex. Journal of Neuroscience, 42(34), 6620-6636.
https://doi.org/10.1523/JNEUROSCI.0740-21.2022

O’Leary, J. D., et al. (2024). Natural forgetting reversibly modulates engram expression. eLife, 13, e92860.
https://doi.org/10.7554/eLife.92860

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