システム開発・DX導入支援のシナプス・コード

2026年5月12日

「あれ、前にも見た…?」デジャヴの正体は脳の記憶システムの「親近感」と「回想」のずれだった!

「あれ、前にも見た…?」デジャヴの正体は脳の記憶システムの「親近感」と「回想」のずれだった!
ヤーモリ
イーモリ!イーモリ!大変だ!さっきカフェでパンケーキ食べてたらさ、すっっっごい不思議なことが起きたんだよ!
イーモリ
うーん。今日のコロンビアも香り高いな。…で、何があったの?
ヤーモリ
パンケーキにホイップクリームを乗せた瞬間、『あれ?これ前にもやったことある!この瞬間、前にも経験した!』って強烈に感じたんだ!
イーモリ
ああ、それはデジャヴだね。フランス語で『既に見た』という意味の現象だよ。
ヤーモリ
デジャヴ!?まさか僕の脳の機械がバグったのか!?それとも…僕はタイムリープしてるのか!?マンガで読んだことあるぞ!
イーモリ
落ち着いて。タイムリープじゃないよ。でもね、実はこれ、地球人の約60~70%が経験する、かなり一般的な脳の現象なんだ。
ヤーモリ
60~70%!?そんなにたくさんの地球人が時間旅行してるのか!?
イーモリ
だから時間旅行じゃないってば。じゃあ、ちょうどいい。今日はデジャヴの正体を調べてみよう。
ヤーモリ
おおっ!よろしく頼む!
イーモリ
まず基本的なことから説明するぞ。地球人の脳が何かを「見た」「経験した」と認識するには、大きく分けて2つのプロセスがあるんだ。
ヤーモリ
2つ?
イーモリ
1つ目は『親近感』。なんとなく知っている気がするという感覚。2つ目は『回想』。いつ、どこで経験したかを具体的に思い出すこと。通常、この2つはセットで働くんだ。
ヤーモリ
ふむふむ。パンケーキを見て『知ってる!』って感じて、『昨日も食べたからだ!』って思い出す、みたいな?
イーモリ
まさにそれだ。でもね、デジャヴはこの2つのシステムが『ずれる』と起きるんだ。コロラド州立大学のAnne Cleary教授の研究によると、親近感だけが発火して、回想が追いつかない状態がデジャヴの正体なんだよ。
ヤーモリ
ん〜っと…つまり脳が『知ってる!』って叫んでるのに、『いつ知ったんだっけ?』が出てこない状態か!
イーモリ
その通り。Cleary教授はVR(バーチャルリアリティ)を使った実験でこれを証明したんだ。被験者にVRで色々な部屋を見せて、その後、以前見た部屋と同じ空間レイアウトだけど見た目が全く違う部屋に入れると…。
ヤーモリ
入れると??
イーモリ
デジャヴを強く感じたんだ。つまり脳は、個々の物体ではなく『空間全体の配置パターン』を記憶していて、似たパターンに出会うと親近感が発火する。これを『ゲシュタルト親近性』と呼ぶんだよ。
ヤーモリ
すげー!脳って見た目じゃなくて空間の『形』を覚えてるのか!じゃあ僕がカフェでデジャヴを感じたのは、あのカフェと似たレイアウトの場所に前にいたからかもしれないのか!
イーモリ
その可能性は高いね。さらに面白いのは、デジャヴに関わる脳の部位だよ。鍵を握るのは『海馬傍回(parahippocampal cortex)』と『海馬(hippocampus)』なんだ。
ヤーモリ
海馬!前にも聞いたことあるぞ!記憶の司令塔だよな!
イーモリ
そうだ。海馬傍回は『親近感』の生成を担当していて、海馬は『具体的な記憶の検索』を担当している。デジャヴのとき、海馬傍回が先走って親近感シグナルを出すけど、海馬が対応する記憶を見つけられない。この不一致がデジャヴの『不思議な感じ』を生み出すんだ。
ヤーモリ
海馬傍回が暴走してるってことか!僕の部下のモブたちが勝手に行動して、僕(海馬)が追いつけないのと同じだ!…あれ、僕が海馬ポジション?隊長だからいいのか?
イーモリ
まあ…ヤーモリの場合はいつも追いつけてないけどね。
ヤーモリ
ひどい!いいもん。いいもん。どーせ僕はポンコツだもん…
イーモリ
ごめんごめん。でもね、もう一つ重要な発見があるんだ。てんかんの研究からわかったことなんだけど。
ヤーモリ
てんかん?
イーモリ
側頭葉てんかんの患者さんは、発作の前兆としてデジャヴを頻繁に経験するんだ。Bartolomei教授らの研究で、てんかん患者の脳にデジャヴが起きた瞬間の脳波を記録したところ、鼻領皮質(嗅周皮質を含む領域)と海馬の間でシータ波やベータ波の同期が、さらに鼻領皮質と扁桃体の間でもシータ波の同期が異常に高まっていることがわかったんだよ。
ヤーモリ
シータ波の同期?なんだかカッコいい響きだな!
イーモリ
シータ波というのは4~8Hzの脳波で、記憶の処理に深く関わっている。通常は適度に同期しているんだけど、デジャヴの瞬間にはこの同期が過剰になる。さらに扁桃体も関与しているということは、デジャヴに感情的な要素も絡んでいる可能性があるんだ。つまり記憶システムが一瞬だけ『過敏』になって、本来なら親近感を感じないはずの場面で発火してしまうんだよ。
ヤーモリ
脳が敏感になりすぎちゃうのか!僕もパンケーキには敏感だからわかるぞ!100m先のパンケーキの匂いもわかるからな!
イーモリ
それは別の話だよ…。さて、興味深いのはデジャヴの頻度が年齢によって変わることだね。
ヤーモリ
年齢?若いほど多いのか?
イーモリ
正解。デジャヴは15歳から25歳くらいの若年層で最も頻繁に起きて、年齢とともに減少していくんだ。これは若い脳の方が神経の可塑性が高くて、記憶パターンの類似性に敏感に反応するからだと考えられている。Brown(2004)の大規模調査でも、この傾向が確認されているよ。
ヤーモリ
じゃあ僕たち宇宙人は年齢不明だから…毎日デジャヴってこと?
イーモリ
僕たちは脳の機械で記憶を管理してるから、多分デジャヴは起きにくいと思うけどね。でも実は、デジャヴにはもう一つ面白い仮説があるんだ。『メタ認知仮説』というものなんだけど。
ヤーモリ
メタ認知!?なんかすごそう!
イーモリ
Cleary教授とClaxton教授の研究(2018)によると、健常者のデジャヴは脳が自分の記憶システムを『点検』している証拠かもしれないんだ。つまり、脳が誤った親近感シグナルを検出して、『これは間違いだ』と気づくメタ認知的なプロセスそのものがデジャヴ体験なのかもしれない。
ヤーモリ
えっ、じゃあデジャヴって脳のバグじゃなくて、バグを検知するシステムが動いてる証拠なのか!?
イーモリ
そう考えると面白いよね。脳が『あれ?この親近感は本物の記憶に基づいてないぞ?おかしいな?』と気づいている。だからデジャヴを感じる人は、むしろ記憶の自己チェック機能が正常に働いている可能性があるんだ。
ヤーモリ
じゃあデジャヴを感じた僕は優秀ってこと!?さすが隊長!脳の自己チェック機能もバッチリ!
イーモリ
まあ…記憶のチェック機能と、仕事の能力は別物だけどね。
ヤーモリ
ガーン!
イーモリ
さて、最後にデジャヴの実用的な側面を紹介するね。実は、強い疲労やストレス、睡眠不足のときにデジャヴが増えることがわかっているんだ。
ヤーモリ
えっ、マジで?僕、最近毎晩地球のアニメ見て夜更かしして…いや、地球の情報収集に勤しんでほとんど寝てないんだけど…。
イーモリ
疲れた脳は記憶の処理精度が落ちて、親近感システムが誤作動しやすくなるんだ。だからヤーモリ、もしデジャヴが急に増えたら、それは脳が『休んでくれ』というSOSサインかもしれないよ。
ヤーモリ
なにーーーーーーーーーー!じゃあ今日のデジャヴは…僕の脳が悲鳴を上げてたのか!?
イーモリ
可能性はあるね。ちゃんと睡眠を取ることが大切だよ。
ヤーモリ
よし!決めた!今日から僕は1日20時間寝る!そうすればデジャヴも消えて、脳も絶好調で、ハイパフォーマーに生まれ変わるのだー!
イーモリ
20時間は寝すぎだよ…。7~9時間で十分だから。ではまとめよう。
イーモリ
デジャヴの正体は、脳の記憶システムにおける『親近感』と『回想』のずれ。海馬傍回が先走って親近感シグナルを出し、海馬が具体的な記憶を検索できないときに発生する。そして、これは脳が自分の記憶エラーを検知する『メタ認知的チェック機能』が働いている証拠でもあるんだ。
ヤーモリ
ふっふっふ。これも調査の一環なのだ。このデジャヴの仕組みを使えば、地球人に同じ体験を何度も繰り返していると思い込ませる装置が作れるんじゃないか!?名付けて『デジャヴ・ループ・マシン』!
イーモリ
…また始まった。で、何に使うの?
ヤーモリ
地球人に毎日同じ日曜日を繰り返させて、永遠に月曜日が来ないと思い込ませるんだ!そうすれば地球人はみんな幸せに暮らせるぞ!
イーモリ
それはただの現実逃避じゃないか? 実際に人間たちは仕事をしなければお互いを助け合う社会システムが崩壊してしまうし、日曜日が仕事の人はずっと働き続けることになってしまう。
ヤーモリ
あっ…そうだった。いいもん。いいもん。どーせ僕はポンコツだもん…。
イーモリ
まあまあ。それより今日はちゃんと寝なよ。脳のSOSを無視しちゃダメだよ。
ヤーモリ
うん…。でもあと1話だけ…アニメ見てから寝る…。
イーモリ
…結局寝ないじゃん。
参考文献
Cleary, A. M. (2008). Recognition memory, familiarity, and déjà vu experiences. Current Directions in Psychological Science, 17(5), 353-357.
Cleary, A. M., & Claxton, A. B. (2018). Déjà vu: An illusion of prediction. Psychological Science, 29(4), 635-644.
Cleary, A. M., et al. (2012). Familiarity from the configuration of objects in 3-dimensional space and its relation to déjà vu. Consciousness and Cognition, 21(2), 969-975.
Bartolomei, F., et al. (2012). Rhinal-hippocampal interactions during déjà vu. Clinical Neurophysiology, 123(3), 489-495.
Brown, A. S. (2004). The déjà vu experience. Psychology Press.
Urquhart, J. A., & O’Connor, A. R. (2014). The awareness of novelty for strangely familiar words. PeerJ, 2, e666.
Illman, N. A., et al. (2012). Déjà experiences in temporal lobe epilepsy. Epilepsy Research and Treatment, 2012, 539567.
Brázdil, M., et al. (2012). Unveiling the mystery of déjà vu: The structural anatomy of déjà vu. Cortex, 48(9), 1240-1243.

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