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2026年4月24日

「ぼんやり」が天才を作る!?脳の「デフォルトモードネットワーク」が創造性とひらめきを爆発させる驚異のメカニズム

「ぼんやり」が天才を作る!?脳の「デフォルトモードネットワーク」が創造性とひらめきを爆発させる驚異のメカニズム

ヤーモリ
(宇宙船の観察モニターをのぞき込みながら)イーモリ!見てくれ!あの地球人の男性、会社のデスクで企画書を作らなきゃいけないはずなのに、さっきからずっと空を見ているぞ!コーヒーを飲んで、窓の外を眺めて、ペンをくるくる回して……。
イーモリ
ふむ。締め切りが迫っているのに、手が止まっている……。だが、注目すべきは彼の行動ではなく、彼の脳波データだ。見てくれ、ヤーモリ。彼の脳は今、「休んでいる」のではなく、非常に活発に働いている。
ヤーモリ
はぁ!?ぼんやりしているのに脳が活発!?それって矛盾してないか?休んでいるときって脳も休んでいるものじゃないのか?
イーモリ
それが地球の脳科学者たちも長年信じていた常識だったんだ。だが、2001年にワシントン大学のマーカス・レイクル教授らが、その常識を覆す大発見をした。人が「何もしていない」時に、脳の特定の領域が非常に活発になることを発見したんだ。これを「デフォルトモードネットワーク(DMN)」という。
ヤーモリ
デフォルトモードネットワーク!?「初期設定の脳」ってことか?僕たちの宇宙船のコンピューターにも「デフォルトモード」があるが、まさか脳にもそんなものがあるのか!
イーモリ
うまい例えだね。まさにその通りで、脳の「初期設定」状態だ。レイクル教授の研究によると、人がぼんやりしているとき、内側前頭前野・後部帯状回・側頭頂葉などが活性化する。しかも、このDMNは脳全体のかなりのエネルギーを消費していると言われている。
ヤーモリ
ぼんやりしているだけで脳のエネルギーの大半を使っているのか!?それじゃあ、ぼんやりしている時の脳は全然「サボって」なんかいないじゃないか!むしろフル稼働だ!
イーモリ
そうだ。では、DMNは一体何をしているのか。主に3つの重要な役割がある。第一に「自己参照」……つまり自分自身について考えること。第二に「記憶の統合」……過去の経験を整理し、未来のシナリオをシミュレーションすること。そして第三に「創造的発想」……一見無関係な記憶やアイデアを結びつけることだ。
ヤーモリ
なるほど!つまりぼんやりしているとき、脳は過去の記憶の引き出しを開けて、「これとあれ、くっつけたら面白いんじゃない?」ってやっているわけか!
イーモリ
まさにその通り。しかも、ペンシルバニア州立大学のロジャー・ビーティ教授らが2018年にPNASに発表した画期的な研究では、「創造性の高い人」は、通常は拮抗する2つの脳ネットワーク——DMN「実行制御ネットワーク(ECN)」——が協力して働いていることを発見した。
ヤーモリ
拮抗する2つのネットワークが協力!?それはどういうことだ?宇宙船で例えてくれ!
イーモリ
いいだろう。DMNは「自由に発想する脳」、ECNは「それを評価・選別する脳」だ。宇宙船で例えるなら、DMNは「あの星に行こう!」「このルートはどうだ!」と次々にアイデアを出すナビゲーター、ECNは「そのルートは燃料が足りない」「こっちの方が現実的だ」と判断する船長だ。
通常は異なる役割を担うことが多いが、創造的な人の脳では、この2つが協力して働くことがある。
ヤーモリ
なるほど!自由な発想と、それを判断する力が同時に働くからこそ、「ひらめき」が生まれるってわけか!
イーモリ
さらに2025年には、Communications Biology誌に10ヶ国・2433人を対象とした大規模研究が発表された。そこでわかったのは、DMNとECNのあいだを柔軟に切り替えられる人ほど、創造性が高い傾向があるということだ。つまり、「自由な発想」と「論理的な評価」を素早く行き来できる脳が、創造的な脳なんだ。
ヤーモリ
切り替え回数!脳の「スイッチの早さ」が創造性に直結するのか!でも待ってくれ、イーモリ。じゃあ、シャワーを浴びている時に突然いいアイデアが浮かぶあの現象も、これと関係あるのか?
イーモリ
いい質問だね。それはまさに「シャワー効果」と呼ばれている現象だ。バージニア大学のアーヴィングらが2022年に発表した研究では、「適度に脳を使う活動」——シャワー、散歩、食器洗いなど——の最中にマインドワンダリング(心のさまよい)が起きると、創造的なアイデアが生まれやすいことが実証されたんだ。
ヤーモリ
シャワー効果!あれは科学だったのか!僕も宇宙船のシャワー室で、突然「あの星の調査方法」を思いついたことがあるぞ!あれはDMNのおかげだったのか!
イーモリ
その前の研究も面白い。ベイルドらが2012年にPsychological Science誌で発表した実験では、被験者に日用品の「別の使い道」を考える創造性テストをした後、「単純な作業」「難しい作業」「休憩」「続行」の4グループに分けた。結果、「単純な作業」グループが最も創造性が高かった
ヤーモリ
「単純な作業」が一番!?「難しい作業」や「休憩」じゃなくて?なぜだ!
イーモリ
難しい作業は脳のリソースをその作業に使い切ってしまう。

この研究では、完全に休むよりも、単純な作業の方が創造性が高まる結果が得られている。完全な休憩は脳が「スリープモード」に入ってしまう。一方、シャワーや散歩のような「適度に脳を使うが、集中力は不要な活動」が、DMNを最も活性化させる「スイートスポット」なんだ。

ヤーモリ
なるほど!「適度にテキトーにサボる」が脳には最高だったわけだ!……あれ、でも待てよ。今、地球の若者たちは「何もしない時間がほしい」って言っているらしいけど、彼らのスマホ漬けの生活とも関係あるのか?
イーモリ
非常にいい着眼点だ。実は2026年の日本では、Z世代の約7割が「何もしない時間がほしい」と答えている。SHIBUYA109 lab.の調査では、2026年のトレンドキーワードは「アテンション・デトックス」——つまり、情報過多や他人の視線から一時的に距離を取る行動だ。脳科学的に言えば、これはDMNを取り戻そうとする本能的な欲求かもしれない。
ヤーモリ
「アテンション・デトックス」!注目をデトックスする!?つまり、スマホやSNSで常に情報を浴びていると、DMNが働く暇がなくなるってことか!
イーモリ
その通りだ。スマホを見ている時、脳は「注意ネットワーク」をフル稼働させている。その間、DMNは抑制される。つまり、スマホを触っている間は、「自分自身について深く考える」「過去の経験を整理する」「創造的に発想する」というDMNの重要な機能が全てストップしているんだ。
ヤーモリ
うわぁ……それは怖いな。じゃあ、具体的にDMNを活性化させるには、どうすればいいんだ?「シャワーを浴びろ」だけじゃないだろう?
イーモリ
もちろんだ。科学的に効果が確認されている方法を教えよう。まず第一に、「散歩」だ。スタンフォード大学の研究では、歩くことで創造性が平均で約60%向上することがわかっている。第二に、「窓の外を眺める」。自然の景色を見ることで、脳は適度なリラックス状態に入り、DMNが活性化する。第三に、「単純な手作業」。料理、ガーデニング、編み物など、手を動かすが脳は「浮遊」できる活動だ。
ヤーモリ
散歩で創造性が60%アップ!?それはすごい!……あ、そういえば、1つ大事なことを聞き忘れた。さっきの地球人のユウタくん、あれからどうなったんだ?
イーモリ
(モニターを操作して)見てくれ。あのユウタという地球人、あの後30分ほど窓の外を眺めたり、コーヒーを飲みながらぼんやりした後……突然キーボードを叩き始めた。その後、1時間で企画書を書き上げている。
ヤーモリ
なんと!あの「ぼんやり30分」が創造性の燃料だったのか!サボっているんじゃなくて、「創造の準備運動」をしていたんだな!
イーモリ
まさにそうだ。ただし、注意点がある。DMNが過剰に活性化すると、「反芻」——つまり同じことをグルグル考え続けてしまう状態——になるリスクもある。うつ病の患者では、DMNが過剰に活動していることが知られている。大事なのは、「積極的にぼんやりする」ことと、「ネガティブな思考にハマる」ことは別物だということだ。
ヤーモリ
なるほど……「良いぼんやり」と「悪いぼんやり」があるのか。じゃあ、「良いぼんやり」をするためのコツはあるのか?
イーモリ
ある。ポイントは3つだ。まず、「スマホを物理的に離す」こと。手元にあると、無意識に触ってしまう。次に、「目的のない活動をする」こと。何かを「達成しよう」とするとECNが優勢になるので、あえて目的を持たない。最後に、「時間を制限しない」こと。「5分でいいアイデアを出せ」というプレッシャーは、DMNを抑制してしまう。
ヤーモリ
スマホを離す、目的を持たない、時間を制限しない……。現代社会と真逆じゃないか!効率、生産性、タイパって地球人はいつも言っているのに!
イーモリ
それがパラドックスなんだ。「効率」を追求しすぎると、脳の「創造モード」が入る余地がなくなる。実は、歴史上の天才たちはこれを直感的に理解していた。アインシュタインは「私の最高のアイデアは、ひげを剃っている時に浮かぶ」と言い、ダーウィンは毎日長時間の散歩を「考えるための時間」と呼んだ。
ヤーモリ
アインシュタインもダーウィンもぼんやりの達人だったのか!つまり「ぼんやり」を笑う者は、「ぼんやり」に泣くってことだな!
イーモリ
うまいまとめ方だね。つまり、今日のまとめはこうだ。「ぼんやり」はサボりではなく、脳の「デフォルトモードネットワーク」が創造性・記憶の整理・自己理解のためにフル稼働している状態。創造的な人の脳は、DMNとECNを素早く切り替えている。そして、「適度にテキトーにサボる」活動が、DMNを最も活性化させる。
ヤーモリ
よくわかった!つまり、「何もしない時間」は「何もしていない」んじゃなくて、「脳が最も創造的に働いている時間」だったわけだ!
イーモリ
その通り。地球人の諸君、今日からできることを伝えよう。まず、「スマホを置いて15分散歩する」。たったそれだけで、DMNが活性化し、創造性が向上する。行き詰まったら、「もっと頑張る」のではなく、「いったん離れる」。それが脳科学が示す、最も理にかなった創造性の引き出し方だ。
ヤーモリ
よし!僕も今すぐ宇宙船のデッキでぼんやりしてくるぞ!スマホもモニターも置いて、宇宙空間を眺めながら「創造の準備運動」だ!
イーモリ
……それはいいが、その前に観察レポートの提出期限があるということを、君のDMNにささやいておくよ。

参考文献

[1] Raichle, M. E., MacLeod, A. M., Snyder, A. Z., Powers, W. J., Gusnard, D. A., & Shulman, G. L. (2001). A default mode of brain function. Proceedings of the National Academy of Sciences, 98(2), 676–682. https://doi.org/10.1073/pnas.98.2.676

[2] Beaty, R. E., Kenett, Y. N., Christensen, A. P., Rosenberg, M. D., Benedek, M., Chen, Q., Fink, A., Qiu, J., Kwapil, T. R., Kane, M. J., & Silvia, P. J. (2018). Robust prediction of individual creative ability from brain functional connectivity. Proceedings of the National Academy of Sciences, 115(5), 1087–1092. https://doi.org/10.1073/pnas.1713532115

[3] Agnoli, S., Mastria, S., Zanichelli, A., & Corazza, G. E. (2025). Dynamic switching between brain networks predicts creative ability. Communications Biology, 8, 207. https://doi.org/10.1038/s42003-025-07470-9

[4] Irving, Z. C., McGrath, C., Flynn, L., Glasser, A., & Mills, C. (2022). The shower effect: Mind wandering facilitates creative incubation during moderately engaging activities. Psychology of Aesthetics, Creativity, and the Arts. https://doi.org/10.1037/aca0000516

[5] Baird, B., Smallwood, J., Mrazek, M. D., Kam, J. W. Y., Franklin, M. S., & Schooler, J. W. (2012). Inspired by distraction: Mind wandering facilitates creative incubation. Psychological Science, 23(10), 1117–1122. https://doi.org/10.1177/0956797612446024

[6] SHIBUYA109 lab. (2026). Z世代が選ぶ注目トレンド 「SHIBUYA109 lab.トレンド予測2026」. https://shibuya109lab.jp

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