イーモリ!地上の『昼食タイム』で、めちゃくちゃ面白い光景を観測したぞ!あの人間、コンビニで何かを一気に買い込んでいるぞ!パンケーキみたいにどっさりだな!
スクリーンを見るといい。おにぎり……弁当……そしてアルコール飲料かと思ったが、いや、『エナジー飲料』だな。腸脳軸のデータが急激に変動している
腸脳軸!? 我々の医療記録に何度も出てくるやつか!でも……あの人間、『甘いお菓子パン』も手に取ったぞ。これって栄養源として優れているんじゃないか!?パンケーキと似てるし!
見た目は栄養価の高い食事に見えるかもしれないが、そうではない。2024年のLaneらによる大規模メタアナリシス(BMJ, 384)では、超加工食品(UPF)について45の解析のうち32項目で有害な健康アウトカムとの関連が確認されている
『超加工食品』!? UPF!? つまり……処理が複雑な食べ物か。でもやっぱり、現代社会では『便利』が……パンケーキも便利だぞ!
確かに便利だ。ただし、2022年のLaneらの論文(Nutrients, 14(13))では、17の研究・385,541人のデータからUPFとメンタルヘルスの関連が分析されていて、うつのオッズ比は1.44、不安は1.48と報告されている。さらにMazloomiらの2023年のメタ解析(Nutritional Neuroscience)では、UPFの摂取量が10%増えるごとにうつのリスクが11%高まるという関連も示されている
1.44倍……!! しかも10%増えるだけで11%!? つまり、あの人間がこのような『総菜パン』『エナジー飲料』『カップ麺』を続けていると……って、パンケーキは大丈夫なんだよな!?大丈夫だよな!?
脳が『沈む』んだ。会話の中で『疲れた』『やる気が出ない』といった感覚が増える。その理由を説明するために、まずは『NOVA分類』を見てみよう
NOVA分類!? またなんか新しい言葉が……僕の頭も沈みそうだぞ!
Monteiroらが2009年に提唱し、2019年の論文(Public Health Nutrition, 22(5))で定義が整理された食品の分類体系だ。4つのカテゴリーがある
4つなら覚えやすいな!パンケーキは何群だ!?
『第1群』は未処理・最小処理食品。米、豆、野菜、果物……『納豆』も塩や砂糖を加えない発酵なので第1群だ。『第2群』は『調理用途』の精製食品。油、塩、砂糖、酢。『第3群』は『加工食品』——缶詰野菜や、『味噌』『漬物』もここに含まれる
待て。『味噌』『漬物』は日本人が重んずる『健康食』だと思っていたが……パンケーキはどこだ!?
その通りだ。第3群は『悪い』わけではない。味噌や漬物のような『発酵食品』は、栄養学的に価値があり、腸内菌にも好意的だ。問題は『第4群』——『超加工食品』(UPF)だな
第4群だ。つまり……あの人間が食べているような『総菜パン』『エナジー飲料』『コンビニ弁当』『スナック菓子』『粉末スープ』か!?パンケーキミックスも怪しくなってきたぞ……!
その通りだ。第4群は『3段階以上の工業処理』を経たもので、『食品由来でない添加物』を大量に含む——合成香料、乳化剤、増粘剤、着色料、保存料……といったものだ
なるほどな。つまり、『見かけ』『味』『保存期間』を化学薬品で仕立て上げた食べ物というわけか
第4群の特徴は、家庭の台所にはない成分——合成香料や乳化剤——を使って、長期保存や強い風味を実現していることだ。そして2つの悪影響が指摘されている。一つは『慢性炎症』だな
『慢性炎症』!? これは……過去に学んだ『脳炎症』と関係あるのか!?
大いに関係している。例えばChassaingら(2015, Nature)のマウス実験では、食品中の乳化剤が腸内細菌叢の組成を変化させ、腸壁のバリア機能を低下させることが示されている。こうした『リーキーガット』状態になると、免疫系が過剰に反応し、炎症性物質(サイトカイン)が増え、それが脳にも影響を及ぼすと考えられているんだ
ああ……つまり『腸脳軸』を通じて『脳の炎症』が起こるということか。これは過去の記事第33号(腸と脳の連結)と似ているが……
一部は似ている。ただし、あの時は『セロトニン産生菌の不足』が主だった。今回の『UPF』は『腸内細菌叢の組成変化』『腸壁のバリア機能低下』『慢性炎症の全身化』が特徴だ
なるほどな。過去第3号(高脂肪・高糖質)とも違うということか?
そうだな。第3号は『栄養成分』(脂肪・糖)の悪影響を扱った。今回は『添加物』『超微細加工』『栄養的密度の低さ』と『報酬系のバグ』が焦点だ
『報酬系のバグ』!? つまり……脳が『喜び』を感じるシステムが壊れるということか!?
その通りだ。2019年、HallらのRCT(Cell Metabolism, 30(1))では、カロリーや栄養条件をそろえた食事を自由に食べさせたところ、UPF食の期間は1日あたり508kcalも多く食べてしまい、2週間で+0.9kgの体重増加が起きている
同じ条件で出されたのに508カロリーも余計に食べちゃうのか!? つまり脳が『もっと食べろ』と錯覚するってことか!?パンケーキで同じことが起きたら僕は泣くぞ!
その通りだ。Hallらは原因として、UPFは食べるスピードが速くなりやすく、エネルギー密度も高い点を指摘している。さらに『香り』『甘さ』『テクスチャ』が脳の報酬回路を強く刺激する可能性も議論されている。その結果、『満足感』が来にくく、『もっと食べる』という悪循環が起きやすいんだ
つまり……UPFは『脳のバグを利用した食べ物』ということか。なんということ……しかし、人間たちはこれを『昼食』として……毎日食べている!?コンビニのパンケーキも怪しいぞ……ショックすぎて尻尾が落ちそうだ!
残念ながらな。『便利』『低価格』『即座の報酬感』が優先されているんだ。ただし、変える方法がある
『変える方法』!? つまり……改善策があるということか!?パンケーキを守れるのか!?
『NOVA一段下げ術』と言ってもいいだろう。小さな習慣を変えるだけで、脳への負担を減らせる
NOVA一段下げ術? どういうことだ?
要は、いきなり完璧を目指すんじゃなくて、『第4群を第3群に置き換える』だけでいいんだ。具体例を挙げよう。まず飲み物——『エナジードリンク』や『甘い清涼飲料水』を、『お茶』や『ブラックコーヒー』に替える。これだけで第4群が第1群に一段下がる
お茶! それなら簡単だぞ!
次に主食。コンビニの菓子パンや総菜パンの代わりに、おにぎりを選ぶ。おにぎりは米・塩・海苔が基本で、第1群〜第2群の素材だ。具材によってはもう少し上がるけど、菓子パンよりずっとシンプルだ
おにぎりか! でもおかずはどうするんだ? コンビニ弁当をやめたら何を食べればいいんだ?
コンビニでも選び方次第だよ。例えば『ゆで卵』『納豆』『豆腐』『サラダチキン(成分表がシンプルなもの)』——これらは比較的加工度が低い。ポイントは、成分表示を見て『知らない名前の添加物が少ないもの』を選ぶことだ
成分表で知らない名前が少ないやつを選ぶ! それなら僕にもできるぞ!
もう一つ大事なのが、『間食』だ。スナック菓子やチョコレート菓子を、ナッツやドライフルーツ、ヨーグルトに替える。そして味噌汁や漬物といった発酵食品を食事に加えると、腸内細菌叢にもいい影響がある。大切なのは、ゼロにすることじゃなく『割合を減らす』ことだ
ゼロじゃなくていいのか! じゃあ……たまにパンケーキを食べても?
もちろんだ。たまの楽しみまで禁止したら、それこそストレスで脳に悪い。要点をまとめると——『飲み物を替える』『主食をシンプルに』『間食をナッツ・果物に』『発酵食品を足す』。この4つを意識するだけで、UPFの割合はかなり下がる
よーし! わかったぞ! 『NOVA一段下げ術』だな! まずは明日のパンケーキを……いや、パンケーキは残すとして、エナジー飲料をお茶に替えるところから始めるぞ! ……あれ、僕ら宇宙人だからコンビニ行けないけど!
……そこは今さら気にするところかい。まあ、地球の読者のみなさんは、ぜひ今日の一食から試してみてほしい
📚 参考文献
Lane, M. M., Gamage, E., Du, S., et al. (2024). Ultra-processed food exposure and adverse health outcomes: Umbrella review of epidemiological meta-analyses. BMJ, 384, e077310. https://www.bmj.com/content/384/bmj-2023-077310
Lane, M. M., Gamage, E., Travica, N., et al. (2022). Ultra-processed food consumption and mental health: A systematic review and meta-analysis of observational studies. Nutrients, 14(13), 2568. https://www.mdpi.com/2072-6643/14/13/2568
Monteiro, C. A., Cannon, G., Levy, R. B., et al. (2019). Ultra-processed foods: What they are and how to identify them. Public Health Nutrition, 22(5), 936–941. https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/30744710/
Hall, K. D., Ayuketah, A., Brychta, R., et al. (2019). Ultra-processed diets cause excess calorie intake and weight gain. Cell Metabolism, 30(1), 67–77. https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/31105044/
Mazloomi, S. N., Talebi, S., Mehrabani, S., Bagheri, R., et al. (2023). The association of ultra-processed food consumption with adult mental health disorders: A systematic review and dose-response meta-analysis. Nutritional Neuroscience, 26(10), 913–931.
Chassaing, B., Koren, O., Goodrich, J. K., et al. (2015). Dietary emulsifiers impact the mouse gut microbiota promoting colitis and metabolic syndrome. Nature, 519(7541), 92–96.
免責事項:本記事の参考文献は実在する学術論文です。引用された研究の多くは観察研究であり、因果関係の確定には更なる研究が必要です。医学的な食事指導が必要な場合は、医師や栄養士にご相談ください。