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2026年7月3日

空腹が脳を覚醒させる!?ファスティングで脳内に起こる「代謝スイッチ」の驚愕メカニズム

空腹が脳を覚醒させる!?ファスティングで脳内に起こる「代謝スイッチ」
ヤーモリ
イーモリ〜!あの地球人、また昼ごはん食べてないぞ!机に突っ伏して寝てる!栄養失調で倒れたんじゃないか!?
イーモリ
落ち着いて、ヤーモリ。あの人は倒れたんじゃないよ。あれは意図的に食事を抜いてるんだ。「ファスティング」っていう健康法さ。
ヤーモリ
ファスティング!?わざと飯を食わないだと!?僕なんかパンケーキを3時間食べないだけで手が震えるのに!地球人は正気か!?
イーモリ
…それは禁断症状が出ていないか…。実はね、ファスティングは今、地球の科学者たちが本気で研究してるんだ。特に「脳への効果」がすごいことになってる。
ヤーモリ
脳!?食べないのに脳に良いの!?僕の常識だと、食べないと頭がボーッとするんだが……。
イーモリ
それがね、12〜16時間くらい食事を摂らないでいると、脳の中でとんでもないことが起き始めるんだ。これを「代謝スイッチ(メタボリック・スイッチ)」って呼ぶ。ジョンズ・ホプキンス大学のマーク・マットソン博士が2018年にNature Reviews Neuroscience誌で提唱した概念でね。
ヤーモリ
代謝スイッチ?なんかロボットの起動スイッチみたいでカッコいいな!で、何が起きるんだ?
イーモリ
普段、脳はブドウ糖をエネルギー源にしてるんだけど、食事を12時間以上摂らないと、肝臓のグリコーゲンが枯渇するんだ。すると体は脂肪を分解し始めて、「ケトン体」という物質を作り出す。特に重要なのが「β-ヒドロキシ酪酸」、略してBHBっていうケトン体だよ。
ヤーモリ
ケトン体!ダイエットの人がよく言ってるやつだ!でも、それが脳と何の関係が?
イーモリ
このBHBが血液脳関門を通過して脳に届くと、ブドウ糖よりも効率的なエネルギー源として働くんだ。しかもBHBのすごいところはエネルギーだけじゃない。脳内で「BDNF」っていう物質の生産を爆発的に増やすことがわかってるんだよ。
ヤーモリ
BDNF!前に運動の回でも出てきた脳の肥料みたいなやつだろ!?パンケーキよりも脳に効くエネルギーがあったなんて……ショックだ。
イーモリ
正式名称は「脳由来神経栄養因子」。ニューロンの成長を促し、シナプスの可塑性を高め、新しい神経細胞の誕生まで促進する万能肥料だ。スレイマンらの2016年のeLife誌の研究では、運動によって増加したBHBがヒストン脱アセチル化酵素(HDAC)を阻害することで、BDNF遺伝子の発現を直接促進することが明らかになった。これは運動モデルでの発見だけど、ファスティングでもBHBは同様に増えるから、同じメカニズムが働くと考えられているんだ。
ヤーモリ
遺伝子のスイッチをオン!?ケトン体って脳の司令官みたいなもんじゃないか!
イーモリ
いい表現だね。さらに2020年のFrontiers in Neuroscience誌のフーらの研究では、BHBが海馬のニューロンにおいてBDNFプロモーター領域のヒストンH3K4のトリメチル化を増加させることも報告された。つまり脳の記憶中枢を分子レベルで活性化するってことだよ。
ヤーモリ
ちょっと待って、難しすぎる!要するに……空腹になるとケトン体が出て、そのケトン体が脳の肥料BDNFをドバドバ出させて、脳がパワーアップするってこと?
イーモリ
完璧な要約だよ。それに加えて、ファスティングにはもう一つ重要な効果がある。「オートファジー」だ。
ヤーモリ
オートファジー!?カッコいい必殺技みたいな名前だ!
イーモリ
2016年にノーベル生理学・医学賞を受賞した大隅良典先生の研究で有名になった概念だね。細胞が自分の中の壊れたタンパク質や不要物を分解してリサイクルする仕組み、つまり脳の「大掃除」だ。
ヤーモリ
脳の大掃除!僕の部屋も誰かやってくれないかな……。
イーモリ
笑えないよ。アリレザイらの2010年のAutophagy誌の研究では、24〜48時間の短期絶食で脳のニューロン内のオートファジーが劇的に活性化されることが初めて実証されたんだ。それまでは「脳は絶食の影響を受けない特別な場所」だと思われていたのに、実は脳でもしっかりお掃除が起きてたんだよ。
ヤーモリ
知らなかった!でも脳にゴミが溜まるとどうなるんだ?
イーモリ
アルツハイマー病やパーキンソン病では、このオートファジーの機能が低下して異常なタンパク質が脳に蓄積することが発症の一因と考えられてる。だからファスティングで脳の掃除スイッチを入れることは、認知症の予防にも繋がる可能性があると考えられている。ただし、これはまだ主に動物実験で示された段階だよ。
ヤーモリ
すげえ!で、実際にファスティングした地球人は頭が冴えるのか?
イーモリ
面白い研究があるよ。2024年のCell Metabolism誌に掲載されたパイロット研究では、インスリン抵抗性のある高齢者40名を対象に週2日のカロリー制限を8週間実施したところ、実行機能や記憶に関する指標が改善したんだ。
ヤーモリ
おおー!高齢者でも効果があるのか!
イーモリ
一方で、2025年のHealth Psychology誌のバンベルクらの研究では、健康な若い成人122名が16時間ファスティングを10日間続けても認知機能に有意な変化は見られなかったという結果もある。
ヤーモリ
えっ、どっちなんだ!?
イーモリ
対象者の年齢や健康状態で結果が変わるんだ。若くて健康な人は元々脳機能が高いから変化が見えにくい。加齢やインスリン抵抗性で脳機能が低下し始めている人には改善効果が現れやすいと考えられてる。マットソン博士の理論では、空腹と満腹を繰り返すことで脳の適応能力が鍛えられる。ちょうど運動で筋肉が鍛えられるのと同じ原理だよ。
ヤーモリ
脳の筋トレか!空腹がダンベルの代わりってわけだな!よし、僕も今日から16時間ファスティングを始めるぞ!超天才隊長に生まれ変わってやる!
イーモリ
意気込みはいいけど、注意点もあるよ。成長期の子どもや妊婦さん、摂食障害の既往がある人、低血糖になりやすい人には推奨されない。いきなり長時間断食も危険だから、まずは12時間の夜間断食から始めるのが安全だよ。
ヤーモリ
12時間なら……夕食を20時に食べ終えたら翌日8時まで?あっ、朝のパンケーキは!?
イーモリ
8時なら食べられるよ。16時間にすると昼12時まで食べられないけどね。
ヤーモリ
うーん。やっぱり16時間はきついな…
イーモリ
まあ水やブラックコーヒーは飲んでいいから。コーヒーにはオートファジーを促進する効果もあるという報告があるしね。
ヤーモリ
コーヒー!ならイーモリの好きなコロンビアを一緒に飲もう!これも調査の一環なのだ!
イーモリ
いいね。では最後にまとめよう。ファスティングは単なるダイエット法じゃなくて、脳の代謝スイッチを切り替えてケトン体を生成し、BDNFの発現を促進して神経の成長と修復を促し、さらにオートファジーで脳内の不要物を除去する。まさに脳の「リブート」と言える現象なんだ。ただし、ヒトでの大規模臨床試験はまだ十分じゃないから、過度な期待は禁物。自分の体調と相談しながら、まずは無理のない範囲で試してみるのがいいだろうね。

参考文献

Mattson, M. P., Moehl, K., Ghena, N., Schmaedick, M., & Cheng, A. (2018). Intermittent metabolic switching, neuroplasticity and brain health. Nature Reviews Neuroscience, 19(2), 63–80. https://doi.org/10.1038/nrn.2017.156

de Cabo, R., & Mattson, M. P. (2019). Effects of intermittent fasting on health, aging, and disease. New England Journal of Medicine, 381(26), 2541–2551. https://doi.org/10.1056/NEJMra1905136

Sleiman, S. F., Henry, J., Al-Haddad, R., El Hayek, L., Abou Haidar, E., Stringer, T., … & Bhatt, D. (2016). Exercise promotes the expression of brain derived neurotrophic factor (BDNF) through the action of the ketone body β-hydroxybutyrate. eLife, 5, e15092. https://doi.org/10.7554/eLife.15092

Hu, E., Du, H., Shang, S., Zhang, Y., & Lu, X. (2020). Beta-hydroxybutyrate enhances BDNF expression by increasing H3K4me3 and decreasing H2AK119ub in hippocampal neurons. Frontiers in Neuroscience, 14, 591177. https://doi.org/10.3389/fnins.2020.591177

Alirezaei, M., Kemball, C. C., Flynn, C. T., Wood, M. R., Whitton, J. L., & Kiosses, W. B. (2010). Short-term fasting induces profound neuronal autophagy. Autophagy, 6(6), 702–710. https://doi.org/10.4161/auto.6.6.12376

Mattson, M. P., Longo, V. D., & Harvie, M. (2017). Impact of intermittent fasting on health and disease processes. Ageing Research Reviews, 39, 46–58. https://doi.org/10.1016/j.arr.2016.10.005

Gudden, J., Vasquez, A. A., & Brünner-Weinzierl, O. C. (2021). The effects of intermittent fasting on brain and cognitive function. Nutrients, 13(9), 3166. https://doi.org/10.3390/nu13093166

Bamberg, C., Reichenberger, J., & Blechert, J. (2025). Stable cognitive performance while adapting to intermittent fasting: A randomised controlled trial. Journal of Health Psychology. https://doi.org/10.1177/13591053251351204

Manolopoulos, A., Mullins, R., Avgerinos, K., et al. (2024). Brain responses to intermittent fasting and the healthy living diet in older adults. Cell Metabolism, 36(8), 1668–1678.e5. https://doi.org/10.1016/j.cmet.2024.05.017

Ooi, T. C., Meramat, A., Rajab, N. F., Shahar, S., Ismail, I. S., Azam, A. A., & Sharif, R. (2020). Intermittent fasting enhanced the cognitive function in older adults with mild cognitive impairment by inducing biochemical and metabolic changes. Nutrients, 12(9), 2644. https://doi.org/10.3390/nu12092644

※本記事で紹介した研究の多くは動物実験の段階であり、ヒトへの効果については今後の研究が必要です。ファスティングの実践は個人の健康状態により適否が異なります。持病のある方や服薬中の方は、必ず医師にご相談ください。

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