イーモリ!あの地球人を見てくれ!オフィスで、ディスプレイを凝視したまま動かなくなったぞ!石化したのか!?
石化じゃない。脳の「指向性注意」が枯渇して、認知的疲労がピークに達しているだけだ。いわば脳のバッテリー切れだね。
指向性注意? なんだか難しそうだが、バッテリー切れは大変だ!今すぐエネルギー源のパンケーキを転送してやらなきゃ!
待て待て。彼に必要なのは糖分よりも「緑」だ。ミシガン大学のステファン・カプラン教授が提唱した「注意回復理論(ART)」を知っているかい?
チュウイカイフクリロン……? 緑色の野菜を食べれば、シャキッとするって話か?
食べるんじゃない。自然の景色を「見る」だけでいいんだ。地球人の脳は、人工的な刺激に集中し続けると激しく消耗するが、自然界のゆったりした刺激には「無意識の注意」が働き、脳を休めることができる。
え!見るだけでいいのか!?
それは余計にストレスが溜まるだろうね。メルボルン大学の研究では、ビルの屋上の「緑」をたった40秒眺めるだけで、その後の集中力が大幅に回復したというデータがあるんだ。
たったの40秒!? カップラーメンができるのを待つより短いじゃないか! 緑パワー、恐るべしだな!
脳内の「前頭前野」という、理性や集中を司る部位の活動が、自然に触れることで鎮静化される。これを最新の脳科学では「脳のデフラグ」のようなものだと考えている研究者もいるよ。
デフラグ?!あー、なんかコンピュータ用語で、バラバラになった記録データを綺麗に整列させるんだっけか?緑を見るだけで綺麗にできるなんてな。地球人はやっぱり自然とともに生きるように設計されているということなのか?
そうかもしれないな。ユタ大学の研究では、スマホを置いて4日間自然の中で過ごしたグループは、創造性を測るテストのスコアが50%も向上したそうだ。
50%!? 知能が1.5倍になるのか! もし僕が4日間森にいたら、宇宙一の天才ヤーモリ様の爆誕だな!
君の場合は、ただ森の果実を食べ尽くして終わる気がするがね。とにかく、地球人の「デジタル疲れ」に対する特効薬は、薬局ではなく公園にあるということだ。
よーし! 早速あの地球人に、公園へ行くように電波を送るぞ! 「公園へ行け……緑を見ろ……さもなくば脳がポップコーンになるぞ……」
やめなよ、不審者扱いされるだけだ。……おや、彼が動き出したぞ。窓の外にある小さな街路樹を見つめている。
おお! 僕の電波が届いたか!? ほら見ろ、顔色が少し明るくなってきたぞ!
わずかな自然でも効果があるのがこの理論の凄いところだね。観葉植物をデスクに置くだけでも、疲労感が軽減されるという報告もある。
観葉植物……! イーモリ、僕たちの宇宙船にも今すぐジャングルを作ろう! 床一面を芝生にして、天井からはツタをぶら下げるんだ!
それでは操作盤が見えなくなるだろう。……でも、確かに少しの緑は必要かもしれないね。私のデスクに小さなサボテンでも置こうか。
サボテンかぁ。トゲトゲしてて、なんだか集中力を削がれそうだけど……。
「フラクタル構造」といって、自然界の幾何学的な模様には、脳をリラックスさせる視覚効果があるんだ。サボテンのトゲの並びもそれだね。
フラクタル! なんだか必殺技みたいな名前だな。よーし、僕もフラクタルなパンケーキを焼いて、脳を癒やすぞ!
パンケーキにフラクタル……シロップで渦巻きでも描くつもりかい?
その通り! 食べて健康、見て回復! これぞヤーモリ流・最新脳科学パンケーキだ!
(勝手にしろと言いたいが……)まあ、何かに没頭して楽しむことも、ある種の「回復」にはなるからね。
イーモリも一枚どうだ? 緑色の抹茶ソースをたっぷりかけてやるぞ! 視覚的にも脳に効くはずだ!
抹茶ソースか……。アンチオキシダント(抗酸化作用)も期待できるし、悪くない提案だ。
よっしゃ! 調査完了! 「地球人の脳を救うのは、40秒の緑と、ヤーモリの特製パンケーキである」!
結論が私物化されているが、今日のところは良しとしよう。調査終了、お疲れ様。
📚 参考文献
Kaplan, S. (1995). The restorative benefits of nature: Toward an integrative framework. Journal of Environmental Psychology, 15(3), 169-182.
Ohly, H., et al. (2016). Attention Restoration Theory: A systematic review. Journal of Toxicology and Environmental Health, Part B, 19(7), 309-343.
Lee, K. E., et al. (2015). 40-second green roof views sustain attention: The role of micro-breaks in attention restoration. Journal of Environmental Psychology, 42, 182-189.
Bratman, G. N., et al. (2015). Nature experience reduces rumination and subgenual prefrontal cortex activation. PNAS, 112(28), 8567-8572.
Atchley, R. A., Strayer, D. L., & Atchley, P. (2012). Creativity in the wild: Improving creative reasoning through immersion in natural settings. PLOS ONE, 7(12), e51474.
Nieuwenhuis, M., et al. (2014). The relative benefits of green versus lean office space. Journal of Experimental Psychology: Applied, 20(3), 199.
Hagerhall, C. M., et al. (2015). Human physiological response to fractal patterns in nature. Case Studies in the Environment.