おい見ろ!イーモリ!
あそこの席のおじいちゃん、スマホを指でシュッシュッてしてるぞ!
ああ、電子書籍を読んでいるようだね。
微笑ましい光景じゃないか。
微笑ましいだと!?
以前お前は言ったじゃないか!
「ショート動画の見過ぎはポップコーン・ブレインになる」って!
おじいちゃんの脳が弾け飛んじゃうぞ!止めに行かなきゃ!
待て待て、早まるな。
対象が変われば、毒も薬になるんだ。
なぬ!?どういうことだ?
スマホは全人類の脳を破壊する兵器じゃないのか?
実は、高齢者に関しては全く逆のデータが出ている。
最近話題のニュースと、その元になった論文を紹介しよう。
逆…?
つまり、脳が良くなるってことか?
その通りだ。
アメリカ老年医学会誌に掲載された研究(Chang et al., 2023)では、
定期的にインターネットを使う高齢者は、
認知症のリスクが約半分になるという結果が出ている。
は、半分!?
50%オフか!?
大特価じゃないか!
驚くべき数字だろう?
この研究は、認知症のない50〜64.9歳の成人約1万8000人を、
最長17年間追跡した大規模研究だ。
17年!?
で、なんでスマホ使うだけでそんな差が出るんだ?
理由の一つは「認知予備能」だ。
新しい操作を覚えたり、検索したりする行為が、
脳のネットワークを活性化させる。
ニンチヨビノウ?なんだその必殺技みたいな名前は。
簡単に言えば、脳の一部がダメージを受けても、他のネットワークで補って機能を維持する力のことだ。新しいデジタル機器の操作を覚えたり、検索したりする行為は、脳にとって良い刺激になるんだよ。
なるほど!
僕が新作ゲーム覚えるときに脳が熱くなる感じか!
さらに重要なのが「社会的孤立の防止」だ。
高齢になると、どうしても人との交流が減りやすい。だが、スマホがあればSNSやメールで家族や友人と繋がれるだろう?
ああ、タケルもよく田舎のおばあちゃんとビデオ通話してるな。あれか!
そう。社会的なつながりを維持することは、うつ病のリスクを下げ、結果として認知機能の低下を防ぐことにつながるんだ。
すごいじゃないかスマホ!若者の脳はポップコーンにするくせに、高齢者の脳は守ってくれるなんて、ツンデレな機械だな!
ただし注意点もある。
この研究では「使いすぎ」は逆効果になる可能性も示唆されている。
やっぱりか!
何時間くらいがベストなんだ?
データでは、1日あたり「0.1時間から2時間」の使用者が最もリスクが低かった。
逆に、過度に使用(例えば1日6〜8時間以上)すると、そのメリットは薄れるか、悪影響が出る可能性がある。
ふむふむ。1日2時間まで…まさに用法・用量を守れってやつだな!
その通り。
単に動画をダラダラ見るだけでなく、情報を検索したり、誰かと交流したりする「能動的な使い方」が鍵になるようだね。
よーし、決めたぞ!
何をだ?
僕も今から「老後」に備えて、今のうちにめちゃくちゃスマホを使って脳を鍛えておくぞ!目指せ認知予備能マックス!
君の場合には今は使いすぎるとポップコーン・ブレインになるだけだぞ。
うっ!..
何事もバランスさ。さあ、調査の続きをするぞ
📚 参考文献・リンク
[1] 今回参考にした記事
Yahoo!ニュース(元記事:現代ビジネス)
高齢者のスマホ利用、認知機能低下を防ぐ?「1日2時間」がカギ
https://news.yahoo.co.jp/articles/226a5ca0fd19d91fd505aabb11a5404e1cb1d68b
[2] 引用・参照した学術論文
定期的なインターネット利用と認知症リスクの関係(Changらの研究)
定期的なインターネット利用者は、非利用者に比べて認知症のリスクが約半分(ハザード比0.57)であったとする大規模コホート研究。
APA形式: Chang, G., Ghisays, V., Lee, D., & Di, J. (2023). Internet usage and the prospective risk of dementia: A population-based cohort study. Journal of the American Geriatrics Society, 71(11), 3165–3173.
論文リンク:
論文リンク
[3] その他、補強として参照した研究
デジタルリテラシー教育が高齢者の幸福感と認知機能に与える影響
農村部の高齢者へのデジタル教育が、社会的つながりを強化し、認知機能を向上させることを示した研究。
APA形式:Kim, S. H., & Kim, H. (2022). Effect of a Digital Literacy Program on Older Adults’ Digital Social Behavior: A Quasi-Experimental Study. International Journal of Environmental Research and Public Health, 19(19), 12404.
論文リンク:
論文リンク