うわぁ、見てくれよイーモリ!あの地球人、右手のスマホでSNSを見ながら、左手でカップ麺を食べて、さらに目の前のテレビでドラマを流してるぞ!器用だなぁ!
ふむ、一見効率的に見えるが、彼の脳内は今、パニック状態のはずだよ。彼がやっているのは「マルチタスク」だ。
まるで僕が、パンケーキを食べながら本部への報告書を書いて、同時にアニメを見ているようなものか?最高に効率的じゃないか!
ヤーモリ、残念ながら地球人の脳(そして僕らの基本構造も)は、一度に複数の高度な作業を並行処理できるようにはできていないんだ。
ええっ!でも、あいつは全部同時にやってるぞ?
実際には「並行処理」ではなく、凄まじい速度で「切り替え」をしているだけなんだ。これを「タスク・スイッチング」と呼ぶ。
ふーん。そうなのか。それの何がいけないんだよ。
スタンフォード大学の研究では、マルチタスクを頻繁に行う人は、不要な情報を無視する能力や、記憶を整理する能力が、そうでない人より低いことが示されているんだ。
げげっ!良かれと思ってやってることが、逆に脳の性能を下げてるってことか!?
その通り。さらに、ロンドン大学の研究によると、マルチタスクをしている時のIQ低下は、なんと「一晩中寝ていない状態」や「大麻を吸った状態」に匹敵するという報告もある。
IQが下がる!?僕が最近、イーモリの言ったことをすぐ忘れるのも、マルチタスクのせいなのか?
それは単純に君の不注意だと思うが……。ただ、マルチタスクはストレスホルモンの「コルチゾール」を増加させ、脳を慢性的な疲労状態にするのは事実だ。
怖い……!地球人はあんなに必死に頑張っているのに、実は脳をボロボロにしていたなんて。どうすればいいんだ?
解決策はシンプルだ。一つのことに集中する「シングルタスク」に切り替えること。例えば、ポモドーロ・テクニックのように時間を区切って一つの作業に没頭する。
ポモドーロ?なんかどこかで聞いた言葉だな。
以前、チカの読書の時に説明したと思うんだがな… イタリア語で「トマト」という意味だが、25分集中して5分休むという時間管理術だ。この短い休息が、脳の「デフォルト・モード・ネットワーク」を活性化させ、創造性を高めるんだ。
25分間、パンケーキを食べることにだけ集中すればいいんだな!よし、やってみるぞ!
食べるだけなら25分もかからないだろう……。仕事や学習の時に、スマホを別の部屋に置くだけでも、脳の認知能力は劇的に改善するという研究もあるんだよ。
25分間、パンケーキを食べることにだけ集中すればいいんだな!よし、やってみるぞ!
「スマホが視界に入っているだけ」で、脳の一部がそれを無視するためにリソースを割いてしまうからね。
これを認知力低下の意味で「ブレイン・ドレイン」現象と呼ばれている。
恐ろしい……。スマホは魔法の道具だと思ってたけど、実は脳のリソースを吸い取る吸血鬼だったのか!
吸血鬼は言い過ぎだが、使い方が重要だということだね。
あの地球人も、ドラマを見終わってからカップ麺を食べれば、味も内容ももっと深く記憶に残るはずなのに。
確かに、一度に全部やろうとして、全部中途半端になるのはもったいないな。
僕もこれからは、報告書を書く時はアニメを消すことにするよ!
それは賢明な判断だ。昇進に一歩近づくかもしれないな。
で、その報告書なんだけど……イーモリ、代わりにシングルタスクでやってくれないか?
……結局、自分ではやらないんだな。
だって、僕は「イーモリにお願いする」という一つのタスクに全集中してるからね!これぞシングルタスク!
それはただの「丸投げ」と言うんだ。
まあまあ、そう言わずに!よし、集中した後は二人で最高に美味しいパンケーキを一枚ずつ、じっくり味わおうじゃないか!
……やれやれ。まあ、「味わうことに集中する」のは脳にとって良い刺激になるから、それだけは付き合ってあげよう。
📚 参考文献・リンク
1.
Ophir, E., Nass, C., & Wagner, A. D. (2009). Cognitive control in media multitaskers.
Proceedings of the National Academy of Sciences, 106(37), 15583-15587.
https://doi.org/10.1073/pnas.0903620106
2.
University of London. (2005).
Infomania worse than marijuana.
https://www.google.com/search?q=http://news.bbc.co.uk/2/hi/technology/4470163.stm
(※Hewlett Packard委託による研究結果の報道)
3.
Immordino-Yang, M. H., Christodoulou, J. A., & Singh, V. (2012). Rest Is Not Idleness:
Implications of the Brain’s Default Mode for Human Development and Education.
Perspectives on Psychological Science, 7(4), 352–364.
https://doi.org/10.1177/1745691612447308
4.
Ward, A. F., Duke, K., Gneezy, A., & Bos, M. W. (2017). Brain Drain: The Mere Presence of One’s Own Smartphone Reduces Available Cognitive Capacity.
ournal of the Association for Consumer Research, 2(2), 140-154.
https://doi.org/10.1086/691462