システム開発・DX導入支援のシナプス・コード

2025年12月22日

赤ちゃんは「生まれながらの物理学者」? 何も知らないフリをして世界を計算している!

ヤーモリ
今日も地球のカフェは平和だなあ。

おや、あそこの席の赤ちゃん、さっきからスプーンを床に落としてばかりだぞ。

「あ~あ~」って言ってるだけだし、やっぱり地球人の初期スペックが低いな。
何も知らない「真っ白な状態」で生まれてくるなんて、ハードモードすぎるだろ。
イーモリ
やれやれ、ヤーモリ。
その認識は数十年遅れているぞ。

最新の認知科学では、赤ちゃんは「真っ白」どころか、
「生まれながらの物理学者であり、数学者」だと言われているんだ。
ヤーモリ
なんだって!?
あのおしゃぶりしてる生き物が物理学者?
相対性理論でも考えてるのか?
イーモリ
そこまで高度ではないが、彼らは生まれつき
「コア知識(Core Knowledge)」という世界理解の基本OSを持っている。

教わらなくても、物理法則や数を直感的に理解しているんだ。
ヤーモリ
教わってないのに?
じゃあ、物体が壁をすり抜けないってことも?
イーモリ
その通り。

バイヤルジョン博士の研究では、乳児は
「物体がありえない動きをする」と強く驚くことが示されている。

つまり、すでに現実の物理法則を期待しているんだ。
ヤーモリ
じゃあスプーン落としも、遊びじゃなくて実験か!
イーモリ
その通り。
「落ちる」「音が鳴る」「拾ってもらえる」
すべて因果関係の検証だ。
ヤーモリ
見た目は無力、中身は研究者か…。
地球人の赤ちゃん、恐ろしいな!
イーモリ
だからこそ、大人は「教え込む」のではなく、
彼らの探索を邪魔しないことが重要なんだ。
ヤーモリ
よし、決めた。
僕もパンケーキで重力と重心の実験を――
イーモリ
食べ物で遊ぶな。

次に、「数」への関わり方だ。
スター博士の研究で、生後6ヶ月の「数覚」が将来の数学力を予測すると言っただろう?
ヤーモリ
ああ。「どっちが多いか見抜く能力」だな。
イーモリ
だからこそ、日常の中で「数に関する言葉がけ」を意識するといい。

「1、2、3」と数えるだけでなく、
「こっちのクッキーの方が多いね」「あっちの鳥は少ないね」と、
量や比率を言葉にして聞かせてやるんだ。
ヤーモリ
ほほう。

「1+1=2」のドリルをやらせるより、
「どっちのお皿におやつがいっぱいある?」ってクイズを出す方が、
彼らの本能的な「数覚」を刺激するわけか!
イーモリ
その通り。生まれ持ったセンスを刺激してやるんだ。

そして最後に一番重要なのが、「赤ちゃんの視線を尊重する」ことだ。
ヤーモリ
視線?
イーモリ
彼らが何かを「じっと見つめている」時、
脳内では「あれ?予想と違うぞ?」という期待違反(驚き)が発生し、
猛烈な勢いで学習処理が行われている。

カレン・ウィン博士やルネ・バイラージョン博士の実験でも、
注視時間は思考の深さを示していたからな。
ヤーモリ
つまり、赤ちゃんが一点を見つめて固まっている時は、
フリーズしてるんじゃなくて、「脳内アップデート中」ってことか!
イーモリ
そう。

だから、赤ちゃんが何かに夢中になっている時は、
無理に気を逸らしたり止めたりせず、
「気が済むまで観察させてあげる」のが、
彼らの科学的探究心を伸ばすコツだと言えるだろう。
ヤーモリ
なるほどなぁ。

「あ~あ~」言ってるだけに見えて、
実は宇宙の真理に触れているかもしれないわけか。
地球人の赤ちゃん、尊敬に値するぜ!
イーモリ
理解してくれたようで何よりだ。

さて、君もパンケーキをじっと見つめているが、
それは「物理的考察」なのか?
ヤーモリ
いや、これは「残りの枚数」と「胃袋の容量」の計算処理だ。

うーん、計算結果が出たぞ!
結論! 「おかわりが必要」だ!
イーモリ
……君の脳内計算機は、
いつだって自分に都合のいい答えしか出さないな。

「子育て応用ポイント」
1. 「実験」を許容する(物理的直感の育成)
根拠: 乳児は「支え(Support)」や「重力」のルールを、経験と観察を通して段階的に洗練させていきます(Hespos & vanMarle, 2012)。
アドバイス: 物を落とす、積み木を崩すといった行動は、物理法則を確認する実験行動です。安全な範囲で、物がどう落ちるか、どうすれば倒れるかを納得するまで試させてあげましょう。

2. 日常会話に「量」を取り入れる(数覚の刺激)
根拠: 生後6ヶ月時点での「数覚(Approximate Number System)」の精度は、3.5歳時点の数学能力と相関があります(Starr et al., 2013)。
アドバイス: 正確な数え方だけでなく、「多い・少ない」「増えた・減った」「大きい・小さい」といった、量や比較を表す言葉を日常的に語りかけることで、生まれ持った数の感覚を刺激できます。

3. 「驚き」の瞬間を見逃さない(学習機会の最大化)
根拠: 乳児は予想外の出来事(期待違反)に遭遇した時、驚いて対象を長く注視し、その対象についてより深く学習しようとします(Stahl & Feigenson, 2015 ※前回の関連論文)。
アドバイス: 赤ちゃんが何かをじっと見つめている時は、彼らにとっての「不思議(学習チャンス)」に出会っている瞬間です。声をかけて中断させるのではなく、彼らの視線の先にあるものを一緒に観察したり、見守ったりしてあげましょう。

🎥 Youtube

📚 参考文献

[1] コア知識(Core Knowledge)に関する基礎理論
概要: 乳児には、物理的物体、数、空間、エージェント(意図を持つもの)などに関する知識が、経験に依存せず生物学的に備わっているとする理論。
Spelke, E. S., & Kinzler, K. D. (2007). Core knowledge. Developmental Science, 10(1), 89–96.
リンク:https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/17181705/

[2] 物体の永続性と物理法則の理解(物理予測)
概要: 生後3.5〜4.5ヶ月の乳児が、回転する衝立が箱をすり抜けて倒れる「不可能イベント」を見ると驚くことを示し、物体が永続的に存在し空間を占有することを理解していると示した研究。
Baillargeon, R. (1987). Object permanence in 3½- and 4½-month-old infants. Developmental Psychology, 23(5), 655–664.

[3] 乳児の直感的な物理学(Intuitive Physics)と支え(Support)の理解
概要: 乳児が生まれながらに持つ物理的知識(固体性、連続性、重力など)についてのレビュー。特に「支え(Support)」の理解が、接触の有無(3ヶ月)→接触場所(5ヶ月)→接触量(6.5ヶ月)と段階的に精緻化される過程を詳述。
Hespos, S. J., & vanMarle, K. (2012). Physics for infants: Characterizing the origins of knowledge about objects, substances, and number. Wiley Interdisciplinary Reviews: Cognitive Science, 3(1), 19–27.
リンク:https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/26302470/

[4] 生まれつきの計算能力(1+1=2)
概要: 生後5ヶ月の乳児が、人形を使った足し算・引き算の結果が間違っていると長く注視することを示した古典的研究。
Wynn, K. (1992). Addition and subtraction by human infants. Nature, 358, 749–750.
リンク:https://www.nature.com/articles/358749a0

[5] 乳児期の数覚と将来の数学能力の関係
概要: 生後6ヶ月時点での数覚(Approximate Number System)の精度が、3.5歳時点での数学テストや数能力を有意に予測することを示した研究。
Starr, A., Libertus, M. E., & Brannon, E. M. (2013). Number sense in infancy predicts mathematical abilities in childhood. Proceedings of the National Academy of Sciences, 110(45), 18116–18120.
リンク:https://www.pnas.org/doi/10.1073/pnas.1302751110

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