「子育て応用ポイント」
1. 「実験」を許容する(物理的直感の育成)
根拠: 乳児は「支え(Support)」や「重力」のルールを、経験と観察を通して段階的に洗練させていきます(Hespos & vanMarle, 2012)。
アドバイス: 物を落とす、積み木を崩すといった行動は、物理法則を確認する実験行動です。安全な範囲で、物がどう落ちるか、どうすれば倒れるかを納得するまで試させてあげましょう。
2. 日常会話に「量」を取り入れる(数覚の刺激)
根拠: 生後6ヶ月時点での「数覚(Approximate Number System)」の精度は、3.5歳時点の数学能力と相関があります(Starr et al., 2013)。
アドバイス: 正確な数え方だけでなく、「多い・少ない」「増えた・減った」「大きい・小さい」といった、量や比較を表す言葉を日常的に語りかけることで、生まれ持った数の感覚を刺激できます。
3. 「驚き」の瞬間を見逃さない(学習機会の最大化)
根拠: 乳児は予想外の出来事(期待違反)に遭遇した時、驚いて対象を長く注視し、その対象についてより深く学習しようとします(Stahl & Feigenson, 2015 ※前回の関連論文)。
アドバイス: 赤ちゃんが何かをじっと見つめている時は、彼らにとっての「不思議(学習チャンス)」に出会っている瞬間です。声をかけて中断させるのではなく、彼らの視線の先にあるものを一緒に観察したり、見守ったりしてあげましょう。
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📚 参考文献
[1] コア知識(Core Knowledge)に関する基礎理論
概要: 乳児には、物理的物体、数、空間、エージェント(意図を持つもの)などに関する知識が、経験に依存せず生物学的に備わっているとする理論。
Spelke, E. S., & Kinzler, K. D. (2007). Core knowledge.
Developmental Science, 10(1), 89–96.
リンク:https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/17181705/
[2] 物体の永続性と物理法則の理解(物理予測)
概要: 生後3.5〜4.5ヶ月の乳児が、回転する衝立が箱をすり抜けて倒れる「不可能イベント」を見ると驚くことを示し、物体が永続的に存在し空間を占有することを理解していると示した研究。
Baillargeon, R. (1987). Object permanence in 3½- and 4½-month-old infants.
Developmental Psychology, 23(5), 655–664.
[3] 乳児の直感的な物理学(Intuitive Physics)と支え(Support)の理解
概要: 乳児が生まれながらに持つ物理的知識(固体性、連続性、重力など)についてのレビュー。特に「支え(Support)」の理解が、接触の有無(3ヶ月)→接触場所(5ヶ月)→接触量(6.5ヶ月)と段階的に精緻化される過程を詳述。
Hespos, S. J., & vanMarle, K. (2012). Physics for infants: Characterizing the origins of knowledge about objects, substances, and number.
Wiley Interdisciplinary Reviews: Cognitive Science, 3(1), 19–27.
リンク:https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/26302470/
[4] 生まれつきの計算能力(1+1=2)
概要: 生後5ヶ月の乳児が、人形を使った足し算・引き算の結果が間違っていると長く注視することを示した古典的研究。
Wynn, K. (1992). Addition and subtraction by human infants.
Nature, 358, 749–750.
リンク:https://www.nature.com/articles/358749a0
[5] 乳児期の数覚と将来の数学能力の関係
概要: 生後6ヶ月時点での数覚(Approximate Number System)の精度が、3.5歳時点での数学テストや数能力を有意に予測することを示した研究。
Starr, A., Libertus, M. E., & Brannon, E. M. (2013). Number sense in infancy predicts mathematical abilities in childhood.
Proceedings of the National Academy of Sciences, 110(45), 18116–18120.
リンク:https://www.pnas.org/doi/10.1073/pnas.1302751110
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