イヤフォン需要の拡大背景
音楽愛好家から日常の通勤者まで、イヤフォンは私たちの生活に欠かせないアクセサリーになりました。特に最近、イヤフォン市場は顕著な成長を遂げています。その主な理由の一つに、テレワークの普及やオンライン教育の増加の影響もあるでしょう。日経新聞の報道によれば、イヤフォンやヘッドフォンの市場は今後も拡大の一途を辿ると予測されています。
最近では、ノイズキャンセリングを目当てに購入する人も増えているようです。その目的は勉強や仕事に集中するためです。 確かに無音の環境と、好きな音や音楽をかけられるという環境を意図的に切り替えることができるのはイヤフォンのメリットだといえます。
Apple Air Podsの画期的特許
そんな中、イヤフォンにもう一つの役割がもたらされようとしています。それは脳波を測るという機能です。今やAir Podsは人気のイヤフォンかと思いますが、Appleが取得した新しい特許は、イヤフォンを用いて脳波を測定し、ユーザーの脳の状態を可視化する技術に関するものです。これにより、イヤフォンは単に音楽を聴くためのツールから、自己管理のパートナーへと変貌を遂げようとしています
「AppleがAirPodsを脳波計にする特許、ブレインテック拡大に期待」
VIEとその革新的な製品
2024年の現時点ではAir Podsにはまだ脳波を計測する機能はありませんが、いち早くイヤフォンに脳波計の機能を組み込んだ製品を販売している企業が日本にあります。VIEという会社の「VIE Zone」という商品です。

VIE Zoneは、普段使いのイヤフォンとしても使えますが、首と耳から脳波を取得することができます。計測したデータはandroidやiphoneのアプリから確認することができます。また、VIEは休息や集中したい時などに適した音楽をアプリから提供しており、それを使って休息、集中の効果を高めることができます。そして、この会社のすごいところが、この商品を使って独自研究の論文発表をしています。
VIE、サウナにおける「ととのう」状態の脳活動と気分変容を解明する研究論文を「PLOS ONE」で発表
なぜVIE ZONEか?
さて、VIE Zoneに脳波計測機能があることはわかっていただけたと思いますが、いまだに脳波をどう役立てるのか?についてはまだ利用用途が確立されていないかと思います。私がこの商品をお勧めしたい理由は、これを使ったお勧めの集中方法があるからです。
前回の記事で人間の集中力がいかに短いかというお話を記事にしました。
フローに入って長時間集中できるのであれば問題ありませんが、なかなかそうはいかない時もあるものです。私もそうです。そんな時はこのVIE Zoneを使います。
使い方としては、VIEを装着し、アプリとsyncさせます。

VIEのアプリでは利用シーンに合わせた曲を選ぶことができます。この曲を再生している間に脳波を計測してくれるのです。そして、その曲はだいたい数分程度のものがほとんどです。(3分から10分程度) この計測の間にやれるところまでタスクを分解して取り組むというものです。例えば10分以内にこの記事の1センテンスを書き切る。このプログラミングコードの一部の処理を書き切るという感じです。



これを繰り返しているうちに自然と集中モードに入ることができるようになりました。集中モードに入ったら手を止めずにやれるところまでやってOK。これをするようになってから、なかなか手につきずらいタスクを細かく分解して「とにかくやる」という癖がつきました。本来の使い方とは違いますが私としてはこの方法はなかなかお勧めです。
これはVIEの脳波系イヤフォンでなくてもできるのでは?と思われた方もいらっしゃるかと思いますが、実際にはその通りです。ただ、とにかく始めて、1タスク終わるたびに自分の脳波を見るというのもなかなか面白いものですし、色々発見があったりします。例えば私の場合「読書」をしている間は集中を意味するベータ波やガンマ波は少量で、リラックスを意味するアルファ波やシータ波が多いことがわかりました。読書は時間を制限して少量のストレスをかけた状態でやることも多かったのですが、それからはリラックス状態で読書をするようにしてから、以前よりもよく頭に入るようになった気がします。(これに関しては個人の感想です)
Appleの特許取得から見えるように、イヤフォンはただの聴覚デバイスを超え、私たちの生活を豊かにする健康ツールへと進化しようとしています。VIEの製品はこの進化の最前線にあります。まだこのような製品が発売されて間もないということもあり、これから精錬されてくるでしょう。これからもっと脳波は我々にとって身近なパラメータになってくるはずです。
株式会社シナプス・コード 代表取締役 鯉渕 哲也